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並行複醗酵からみる、相矛盾する動きの難しさ

日本酒造りの特徴として、座学で勉強する際に必ず覚えるワードがあります。それは、「並行複醗酵(へいこうふくはっこう)」という言葉です。端的に言うと、「糖化」と「発酵」が同時並行して行われますよ、という意味です。酒税法では、アルコール度数が1%以上の飲料を「酒類」と定義しています。このアルコールを得るためには、「発酵」が必要になります。発酵の主役は「酵母」という目に見えない生き物です。酵母は、糖を食べることで、二酸化炭素とアルコールを出します。たとえば、ワイン造りの場合は、原料がぶどうですので、原料そのものに糖が含まれます。そのため、酵母による「発酵」からスタートするのですが、日本酒の場合、原料の米だけでは糖がありません。そのため、麹を使って、米を「糖化」させる必要があります。麹、蒸したお米、水を入れると、デンプンが分解されて糖が生まれます。いわゆる、麹を使った甘酒のイメージです。日本酒造りの場合、この「糖化」と「発酵」が同じタンク内で同時並行して行われます。世界の他のお酒では、「糖化」と「発酵」を期間を明確に分けて造ることがほとんどです。同じタンク内で「糖化(糖が増える)」と「発酵(糖が少なくなりアルコールが増える)」を並行させる造り方は、日本酒しかないと言われており、これを「並行複醗酵」と呼びます。これによって、醸造酒(蒸留酒ではありません!)というジャンルでは、世界でもトップクラスに高いアルコール度数(20%近くまで)のお酒を造ることができます。矛盾した2つの方向の動きを複雑にコントロールするため、日本酒の発酵管理が難しく繊細である理由は、このことからもわかります。「糖化」と「発酵」、相矛盾する2つの動きを全体として、どのように管理するか。人間の住む社会でも、様々な相矛盾する動きや価値判断はあります。むしろ、矛盾しないものがある世界のほうが稀かもしれません。先日、酒類業中央団体連絡協議会から、日本の酒類事業者を代表して要望書が提出されました。新型コロナウイルス感染症により深刻な影響を受けている酒類業界への支援等について(要望)ともすれば「酒類自体は悪」ともされかねない世情ではありますが、「お酒がもたらす豊かさ」も頭の片隅に置きつつ、難局を乗り越えていきたいものだと感じる次第です。西堀酒造六代目蔵元:西堀哲也

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