エネルギーと生物の関係性は?
先日、酒蔵に来訪されたある方から聞いた興味深いお話。
西堀酒造では透明タンクを用いたLED光照射の醸造※を行っているのですが、酵母に負荷を与える原理や方法を説明していた中で、雷が落ちた木のキノコの収穫量が増える話を聞きました。
※詳細参考:LED色光照射発酵日本酒「ILLUMINA(イルミナ)」
(出典:参考記事)
調べてみると、昔から落雷でキノコが豊作になるという言い伝えがあるそうです。しかも、大学の実験でも実証されており、実運用もされています。
繰り返し実験を行った結果、1000万分の1秒間に5万~10万ボルトの電気を浴びせたときにキノコの生長が最も活発になることがわかった。このレベルの適度な電気を浴びたシイタケの収穫量は、電気を浴びていない原木からの収穫量の2倍になった。また、電気を浴びたナメコは収穫量が80%増加した。
(参考:記事)
電気を原木に当てる”科学的”な方法もあれば、原木に衝撃を与えるという目的で投擲する(ぶん投げる!)方法を実際にやっているところもあるそうです。
たしかに、いきなりキノコ農家さんが原木を投げている状況を目の当たりにしたらびっくりしますよね。
当蔵も、LEDライトに照らされるタンクは、初めて見る方は意味不明な光景だと思います(笑)
今季は、透明タンク2基目をようやく導入できたので、同時期並行の仕込みをスタートしました。
同一条件での比較醸造、既に1日目から温度帯の違いもでてきています。
目に見えない菌の面白い反応、醸造の世界とも通ずる面白い話です。
エネルギーと生物は、密接に関わっていることがよく分かります。
ワインが微振動や光の負荷で熟成が良くなったり、日本酒も長期低温発酵で酵母が活動できるギリギリを攻めて吟醸香を誘導したりします。
キノコも、落雷という自然界の危険に対する反応として繁殖力を増大させるのではないかと仮説されています。
日本酒造りでいうと、酒母の温度上げ下げを何度も行い「鍛える」発想が昔から採用されていたりしますが、意外とその感覚は合っているような気がします。
目に見えない生物を擬人化して類推する、この感覚はやはり無視できないのです。
西堀酒造六代目蔵元:西堀哲也