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和食と日本酒(1)カツオの刺身

私は、唎酒師(ききざけし)です。簡単に言うと、日本酒のソムリエです。唎酒師の活躍の場は、日本酒を扱う飲食店だけでなく、酒造メーカーや酒販店など、多岐にわたりますが、お客様の好みや体調、季節などを捉え、料理に合わせた的確な日本酒を提供する役割をも担っています。そんな唎酒師にとって、私が最も重要な役割だと思っていることは、日本の食文化の素晴らしさを内外に広め伝えていくことです。なぜなら、今や世界中で評価を受けている「和食」には、日本の四季のはっきりした気候風土や素材をもとに生まれた調理技術もさることながら、「おもてなし」の文化がそこに溶け込んでいるからです。(写真は、我が家のおもてなし料理:ちょっと豪華なワイガヤ家庭料理が基本です!)いままで、ここ「SAKE RE100」では、電力やエネルギー寄りから日本酒についての“思い付き文”を書かせていただきましたが、せっかくの唎酒師ですから、私が考える「和食にあう日本酒」について書かせていただき、この場で「おもてなし」を妄想してみたいと思います。もちろん、再生可能エネルギーや環境のテーマは日本酒に絡めて、書き続けていこうと思います。さて、第一回目の最初は、私が昨晩の食卓でも唸った「カツオの刺身」です。(写真は、タタキの本場、高知にて、塩で食べます。記憶に残るタタキでした。)とにかく、文句なく、この時期のカツオは美味い。スーパーでも新鮮なカツオが安く買えるため、皆さまの食卓でお目にかかる機会も多いのではないでしょうか。初カツオは、秋カツオ(戻りカツオ)に比べ、赤身が強く“ネットリさっぱり”としていますが、腹の部分は、脂身が繊細に入り、ほのかに甘いのが特徴です。ですから、「カツオの刺身」と言っても、食べる時期による違いもありますが、背側と腹側では身質は違い、味わいも違うのです。おのずと、それに合わせる日本酒も異なります。一般的に、カツオは生臭みが直ぐに出やすい魚として知られているため、ショウガやネギなど、臭い消しになる薬味と一緒に食べることが多いかと思います。私はミョウガが好きです。生臭みとは、良くいえば、動物的な血合いの風味でもあり、馬肉などの赤身の肉に共通しており、生姜などの薬味がよく合います。食べ方は、炙って多くの薬味とポン酢醤油で味わうタタキ派と、刺身を醤油で味わう派に分かれるかと思います。タタキの本場、高知では塩を添えて食べたりもしています。さて、そこで、どのような日本酒を合わせるか?タタキ派には、軽い口当たりで、爽快感のある淡麗辛口をおすすめしたい。暑いこの季節の体が欲する合わせ方であり、おそらく、唎酒師の誰もがおすすめするでしょう。しかし、私は、醤油で味わう派で、新鮮なプリプリの“ネットリさっぱり”とした赤身の背側は、マグロの赤身以上に醤油が素材の風味を引き出します。これに合わせるのは、純米酒の常温が良いでしょう。大吟醸の華やかな香りは、赤身の鉄のような風味とマッチしませんが、ふくよかな酸を感じさせる純米酒は、動物的な香りの邪魔をせず、カツオの風味をしっかりと包んでくれます。そして、腹側、こちらは、よりまろやかに味わうために、純米酒のぬる燗がよいでしょう。脂身の繊細な甘さをぬる燗の甘さが引き立てます。以上、「カツオの刺身」といっても、いろいろな合わせ方があるのです。もし、「カツオの刺身」だけで「おもてなし」をする場合、一品目のタタキは端麗辛口の爽酒を合わせ、二品目の背側の刺身は常温の純米酒で。最後に、腹側をぬる燗の純米酒でと、妄想させていただきました。(Olympic Channel ホームページから)「おもてなし」の文化が生まれたことは、そこに日本酒の存在があったからこそ、酒宴の席、いわば会席料理も生まれたのです。日本酒は単なるアルコール飲料ではなく、文化を紡ぐ存在であるのです。いま、コロナ禍で、「飲食店にお酒は必要ないのでは?」との日本酒の存在意義まで問われているように思います。少しでも、和食と日本酒の相性を楽しんでいただくことが、食卓を囲んだ人々に笑顔をもたらし、日本酒業界のためにも、日本の食文化のためにも役立つのかと感じています。また、こうして書き溜めておけば、和食と日本酒の相性を楽しむデータベースになるかも知れません。唎酒師:柏崎和久

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